怪談
マナーモード
S先輩の話だ。


買い物をしていると鞄の中で携帯が震えた。

おかしいなと思ったという。

オフの日でも仕事場から電話がかかることのあるS先輩は、すぐ対応できるよう音を出すようにしている。

しかし携帯は、マナーモードになっていた。

どこかにボタンがあたったかなと思いつつ、長く鳴らすと簡易留守録になると焦り、携帯を開いた。


誰?


そう思いながら携帯の画面を覗くと着信の番号がおかしい。


【129129129】


129という数字が三回繰り返されている。

およそ電話番号とは思えない。


…どこから?

何?


不審に思いつつ、電話をとった。

切れた。


「なんやの」


マナーモードを解除して、携帯を鞄に戻した。

しばらくしてまた、鞄の中で携帯が震えた。


…え?

なんで?

私今さっき、マナーモード解除したで。


少し苛つきながら、携帯を取り出す。

やはりマナーモードになっている。

そして画面には


【129129129】


故障?


そう思いながら電話をとる。

切れた。


「なんやねん」


ぶつぶつと怒りながらマナーモードを解除して、鞄に放り込んだ。

…また、鞄の中で、携帯が震えた。

そこで初めて気味が悪くなった。


何。

何なん。


取り出して画面を見る。


【129129129】


この数字が不気味なものに思えて、今度は電話をとれずにいると簡易留守録に切り替わった。

思わず受話器に耳をつけた。
< 24 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop