怪談
おばけ屋敷
友人のBの話だ。


Bが高校生の頃学園祭の出し物でお化け屋敷をしようという事になった。

せっかく教室を使うのだから、学校を題材にしたお化け屋敷にしようという事になったという。

並べた机にコックリさんの紙と鉛筆を置いてみたり、ポツリと離れた場所の机に花瓶と花を置いてみたり、所々赤い絵の具を散らしてみたりした。

化学室から薄気味悪い標本を借りて並べ、音楽室からは作曲家の絵を借りコピーして貼る。

黒板前では、先を輪にしたロープを垂らし、真下に椅子を転がしてみたりもした。

教室に暗幕を張り衝立で道を作り上げると、なかなか本格的な空間ができる。


これ、いけるで。

むしろ出口で脅かすくらいであとはライトとか効果音だけで演出するほうが怖いんとちゃうか。


というクラスメートの意見に皆賛同し、あえてお化けは配役しなかった。


学園祭当日。

お化け屋敷は大盛況だった。

皆が怯えて出口から出てくる姿にクラスは満足した。

そして学園祭は大成功に終わった。

学園祭後、皆、充実した気持ちでアンケートに目を通した。


『怖かった』

『いつお化けが出てくるかと思った』


そんな意見が続く中一番多かった意見に皆

黙りこんだ。




『黒板前のマネキンの顔が怖かった』






マネキンなど




置いていない。




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