記憶の桜 -花空残夢-
私は羽織に顔を埋め、涙を必死に堪えていた。
「涼ちゃん…、大丈夫…?」
すると、翔馬が心配そうに頭を撫でて来た。
その行為が堪えていた涙を煽った。
「ふっ…、う…、あぁあぁぁああ!!!!!!」
羽織を胸元で抱き締めた。
逢いたい…、彼に…。
でも、この想いは彼には届かない…。
「土方さん…っ」
私は彼の浅葱色の羽織を抱き締めながら、泣いた。
茜空に消えた遠い地に居る彼の面影を思い浮かべながら…。