蒼色キャンディ
「奏!」
「んー?あっ!蜜柑!」


奏の顔が一気に明るくなる。

富岡蜜柑(トミオカミカン)。
私の親友。かなり頭のいい美少女。
私は友達として鼻が高い。


「どうしたの?蜜柑」
「話がしたかったから探してたの!!」


蜜柑は無邪気に笑う。
お母さんがいなくなった時に一番励ましてくれたのも蜜柑だった。


「また何か悩んでるの?」

「えっ!?なんで!?」
「だって今日の奏、いつもよりよそよそしいんだもの」



蜜柑鋭いっ……!



「まぁ…ない…とは言えない感じかなぁ…」
「でしょう?」


蜜柑が笑顔をつくる。


「何でも話してね。私ならいつでも相談相手になるからっ!」
「ありがとう、蜜柑」


奏は微笑んだ。





言えるなら…言うんだけどね………




天使の事なんて見えないものの事を言って、蜜柑を混乱させちゃ可哀相だしなにより…






蜜柑二次元好きだからなぁ……



「そろそろ授業始まるよ。戻ろう」
「そうだね!」


蜜柑が先に階段を下りる。

エイメルを呼ぼうとして−−


奏は途中からエイメルがいなくなっていた事にやっと気が付いた。




「…エイメル?」

学校のチャイムが鳴り響き、奏はやむを得ずかけて行った。







「…んーっ!ぅんーー!」
「黙ってて」


暗い声が屋上に響く。
それは奏にしか聞こえなかったはずの声。


「君、どう見てもちゃんとしたランクを持ってない天使。天界に送り返さなきゃ」


エイメルの横にいた天使はエイメルに手を翳す。


「お前は眠ってろ。動かれると困る」


天使の掌から光が放たれる。

光を浴びたエイメルの体から力が抜け、かくんっと呆気なく崩れた。





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