彼の瞳に捕まりました!




昨夜の事を考えないようにと、集中して仕事をしていたせいか、普段よりもだいぶ早く仕事を終わらす事ができた。

終電間際じゃない時間に家に帰るなんて、どのくらいぶりだろう。

久しぶりに料理でも作ろうか。
そう思って、近所のスーパーで買い物をしてアパートに向かった。

通い慣れたコンビニの角を曲がって、アパートまで後少しという所で足が止まった。

アパートの前に、1台の高級車が停まっていたから。


やっと穏やかになってきた心がざわめく。

大きく息を吐いて、ゆっくりと歩きだす。
高級車には目を向けず、ただ真っすぐ、自分の家をめざして。
そんな私の意思はお構いなしに、車のドアが勢いよく開き、中から男性が飛び出してきて、私の腕をガッシリと掴んだ。

「菜穂」

「しゃ、ちょう……」

「………よかった。目が覚めたらいなかったから、何かあったのかと思って。電話もメールも返事ないし」

心底ホッとしたように社長が呟いた。

「ごめんなさい」

「謝らなくていい、悪いのは僕の方だから」

そのまま私を腕の中に引き入れると、社長は腕の力を増した。


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