彼の瞳に捕まりました!


自虐的な笑みを浮かべて社長は大きく息を吐いた。

「逃げている間は幸せにはなれないですよ」

「社長……」

「自分が好きになった人が幸せになることを放棄することほど、辛いことはないですよ。
どんな形であれ、関わった人には幸せでいてほしい。僕はそう思っているんです。
偽善かもしれないですけどね」

社長はそう言って笑うと、小此木さんの方に向き直って、写真を撮ってほしい。
と、声をかけた。

あさかわの庭を背景に社長と並んで立つ。
小此木さんにカメラを向けられながら、社長がまるで冗談をいうかのように呟いた。

「万が一彼に振られたときは、僕がいるから。いつでも声をかけて下さいね」

「社長?」

「まあ、ないでしょうけどね」

クスクス笑いながら社長は、

「幸せでいて下さいね」

そう言った。

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