彼の瞳に捕まりました!
「菜穂は俺が好きだったんだ」
わざとらしく確認の言葉を行成は言うと、背もたれに置いていた手を肩に乗せた。
「俺が好きだから、大沢さんに言われた通りに説得するんだ?」
「だ、だって……」
「ん?」
「夢なんでしょ?」
私をまっすぐに見つめる行成を、まっすぐに見つめ直すと、彼は少しだけ首をかしげた。
「夢だった。だな」
「だった?」
行成の口から出た、過去形の言葉。
その言葉に思わず行成の腕を掴んでいた。
「親父がカメラマンだった。って、話しはしたろ?
まあ、大沢さんに色々聞いてるんだろうけど。
親父は、戦場カメラマンだったから、戦地なんかを飛び回っていたんだよ。俺たち家族も、親父が世界中を飛び回っているのが当然で、そんな親父を見て育ったから、俺も世界中を飛び回るカメラマンになりたい。そんな風に思うようになったんだ」