彼の瞳に捕まりました!
タイミングを見計らって出される料理。
素材の持ち味を活かしたそれらは、どれも美味しかった。
食後のコーヒーを飲んでいた私の前に先程とは違い、カジュアルなジャケットをさらりと着こなした浅川社長が現れた。
「いかがでしたか?」
目の前のイスに座りながら、社長は微笑む。
そんな彼に、笑みを返しながら、
「どれも美味しくいただきました。ごちそうさまでした。あのお料理は、社長がですか?」
「お恥ずかしながら。
以前、ちょっとシェフのまね事みたいな事をしていた時期がありましてね」
社長は気恥ずかしそうに、おでこをかきながら笑った。
「社長はフランス料理のシェフを目指されていたんですか?」
「若気の至りとでもいいましょうか……
日本料理になぜたが反発した時期がありましてね」
「そうなんですか……全く存じておりませんでした。すみません」
頭を下げた私に、社長は慌てたように手を振った。
「謝らないで下さい。公表できるほどではないんです、結局、すべてが中途半端なままであさかわに戻ったんですから」
自嘲気味に笑みを浮かべると、社長は息をついた。