彼の瞳に捕まりました!


何度目かのため息をついて、勢いよく立ち上った。
自動販売機にお金を入れると、適当にボタンを押した。
静かな空間に響く、飲み物が落ちる音。
やけに響くその音に、身体がびくりと震えた。

「はぁ……情けないなぁ」

独り言にしては大きな声で呟くと、飲み物を取り出した。

出てきたのは、苦手な炭酸飲料。

その缶を見て、またため息が出てきた。

手にした炭酸飲料としばし睨めっこをして、諦めた様にプルタブを引き上げた。

はぁと息を吐いてから、一口飲み込む
喉に当たる刺激に自然に眉間にシワが寄った。

「最低かも」

自然と零れた呟き。

そして、一筋の涙。


頑張らないといけない事はたくさんあるのに、このままじゃダメなのに……
泣いている暇なんてないのに。


< 57 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop