彼の瞳に捕まりました!


背中越しに煙が立ち上がるのを黙って見つめていた。
高瀬の口元からゆっくりと吐き出される煙。
立ち上がっては消える。
何度か繰り返した後で、高瀬は振り返ると、手にした灰皿にタバコを押し付けた。

「物欲しげな顔」

馬鹿にしたように、高瀬の口から発せられた言葉。

「欲しい?」

「たか……せ?」

「言えよ菜穂」

「な、何を?」

「俺が欲しい。って」

さっきまでの意地悪な笑顔を一変させた彼は、私の隣に腰を下ろすと、耳元に唇を寄せて掠れた声だした。

「欲しいって、言えよ」

脳内に直接響くかのような彼の声に、身体が粟立つのを感じる。

「俺が欲しい。って」

「たか、せ……」

「行成」

「…ゆ、きな……り」

とぎれとぎれに名前を発する私の耳を舐めあげてながら、高瀬は艶っぽい声を出し続ける。

「素直に欲しいって言えよ、菜穂」

「ふぁ、んん…」

「俺が欲しいって」


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