ヴァンパイアヒューマン−桜−


涙が零れているサラをウィルはそっと抱きしめた。


『アイツらが許せないのはわかる…でも…でもサラまでアイツらと同じ人殺しになってしまうだろ…』


ウィルは抱きしめるサラに優しく告げた。


『ウィル…』


サラの目から零れた大粒の涙が、ウィルの胸を濡らした。


すると、斬られて倒れている幼いミーナの指が僅かにピクッと動いた。


それを見逃さなかったサラは、幼いミーナに駆け寄った。


『良かった…まだ…まだ生きてる…』


サラはそう言って、自らの爪で自らの左腕を切り裂き、その左腕の傷口と幼いミーナの背中の傷口とを合わせた。


『サラ!?』


ウィルはそんなサラの姿を不思議そうに見つめた。



< 106 / 574 >

この作品をシェア

pagetop