ヴァンパイアヒューマン−桜−


『ジャック!?』


ミーナは突然のジャックの行動に驚いた。


『すみません、ミーナ様。一国の王女であるミーナ様を、こんなただのイチ剣士の私めが抱きしめたりなどして…けど、だけど、もう少しだけこのままで居させてください』


ジャックは申し訳ない気持ちで、ミーナを優しく包んでいた。


『いえ…構わないわ…』


ミーナはジャックのこの行動を不思議に思いつつも、しばらくの間ジャックのぬくもりに包まれていた。


『ミーナ様…王女と剣士という間柄ながら、あなたといた20年間とても楽しかったでございます。この国に生まれて、この国でミーナ様に出会えたこと心より感謝致します』


ジャックはそれだけ言って、ミーナを抱きしめていた手をそっとおろした。


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