ヴァンパイアヒューマン−桜−


『キャアアア!!』


ミーナが悲鳴を上げると同時に、大きな衝撃波がヴィルグロースを襲った。


城は凄い勢いで揺れ、柱は数本倒れ、ヴィルグロースは窓際へと吹っ飛ばされ、壁に激突した。


『な、何んだと…!!』


壁に激突したヴィルグロースはよろめきながら立ち上がり、ミーナを見て驚き目を丸くした。


ミーナの体中から黒い湯気のようなオーラがユラユラと出ていて、歯が2本鋭く尖り、目はヴィルグロースと同じように真っ赤な色をしていた。


『ミーナ様!!』


扉の向こうで、階段を駆け上がり近づいてくるラッセルの声が聞こえた。


『ついにヴァンパイアへと…覚醒してしまったか…ちっ!!』


ヴィルグロースは舌打ちを打ち、黒い煙りに包まれ消えて行った。



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