My Love―お兄ちゃんとどこまでも―
こそこそと開けば、お兄ちゃんからメールが着ていた。



「んー……?」



≪今日は何時に終わる?≫

…どうしたんだろう。

≪20時だよ≫

今日はオーナーとママさんの結婚記念日で、19時半まで。

だから、掃除を含めた20時までのシフト。

≪じゃあ20時に店の前に行くから、勝手に帰るなよ≫



「これって……」



「何?デートのお誘い?」



「やっぱり。そうなんだ……っ」



顔がニヤけてしまう。

あれから初めての事で、嬉しくて堪らない。

また、2人で過ごせるんだ。

…ふふっ。(笑)

楽しい事があると、バイトが終わるのが異様に早く感じる事を初めて知った。

着替えを済ませ、アップにしていたバレッタを外して、髪を手櫛で整えながらお店を出た。

見慣れたエスティマを発見して駆け寄って乗り込む。



「お疲れ」



「ありがとう」



お兄ちゃんが温かいココアをくれた。

一口飲み、「どこ行くの?」と訊ねた。



「どこでも。今日は沙亜矢と2人で居たいんだ」



まさか、お兄ちゃんがそんな事を言うなんて。

何かおかしい。



「何かあったの?」



「後で話す」



会話は強制終了。

“どこでも”と言ったのはお兄ちゃん。

しかし、1泊出来る場所として思い付いた場所はここだけだったのだろうか。

車はパンタロンを潜り抜け、洒落たラブホテルに入った。
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