ボクは桜、キミは唄う
翌朝、学校に着くと、靴箱の前で待っている柚木君がいた。

「柚木君?早いね」

「うん。また楓花の靴がなくなったら困ると思って」

私のために早起きしてくれたの?

「って言うか、本当はあんまり眠れなくて、朝無駄に時間余っちゃったから」

「寝れないの?何か悩み事?」

「ん?んー。色々と昨日あったこと思い出したりとか?」

「あ……」

照れくさそうに顔を背ける柚木君を見つけて、昨日のキスを思い出した。

「教室、行こっか」

「う、うん」

今日は柚木くんのおかげでなくならなかった上靴をはくと、少し前を歩く柚木くんの背中を追いかける。

「楓花、明日からさ一緒に学校行かない?」

パタパタと駆ける私の足音に気づいたのか、柚木君は立ち止まって振り返った。

「早起き、大変じゃない?」

私は生物係りだから、いつも早く登校するけど、付き合わせちゃっていいのかな。

「大丈夫。それより楓花と一緒にいたい……って迷惑?」

「ううん。嬉しい」
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