ボクは桜、キミは唄う
「好きだから別れたって」

え……?

「あの時楓花の為にできる事考えたら、それしか見つからなかったって。

楓花が安心して笑えるようにするには、別れるしかないと思ったって」

ッドーンッ。パチパチパチ。

ナカちゃんの声に返事をしたのは、窓の外で輝く花火の音。

私は返事どころか、ナカちゃんの言葉を呑み込む事すらできない。

ナカちゃんは何を言ってるの?

「でもちゃんと自分に自信がついたら、もう一度迎えに行きたいんだって。本当はそばにいて守りたいんだって」

ッドーンッ。パチパチパチ。

これは、夢?

ただ呆然と突っ立ってるだけの私に、先生が、

「お、ここにも青春みっけ」

と、嬉しそうにニカッと笑った。

「柚木は今でも楓花の事が好きなんだよ」

夢?

片想いしてた私が、ある日柚木君と付き合うっていう幸せな夢を見たの。

でも途中で目が覚めちゃって。

何度も何度もその続きが見たいって、夜寝る前に願っていたら。

やっと、続きが見れたのかな。

もしかしたら可哀想に思ったあの花火が一晩だけ私に夢を与えてくれたのかも。

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