ボクは桜、キミは唄う
たまにバタバタバタッと廊下を駆け抜ける足音がしたりもするけど。

閉めきった音楽室の中に私達がいる事に気づく人はいない。

2人きり。

なぜかピアノの下で、頭をかがめた私達。

キーンコーンカーンコーン。

チャイムと重なって









「俺と、付き合って……くれない?」











柚木君の声が私の胸を震わせた。

窓の外に見える桜の木が、私達を優しく見下ろしてる。

中学1年の6月。

もうすぐ夏がやって来るんだなって、風の匂いをかぎながらぼんやりした頭の中で、思った。






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