海上船内物語
■ ■ ■
『・・・・・・お前は、あの村の生き残りか?』
『・・・うん、母さんも、父さんも、友達もみんなころされちゃった』
『・・・・・・・・・お前は生き残ったのか』
『必死で、はしってきた・・・・・・・・・・・・・・・・。
おじさん、だれ?』
血塗れの、無垢な瞳が見上げる。
『俺か?俺はなぁ、“ガルフ”ってんだ』
『ガルフ・・・・・・・・』
『おう。お前、名前は?』
『・・・・・・・・・・・・アキ・・・・・・・・・・・・・』
『アキか。そうかそうか。どうだアキ、俺は今もう一人子供を預かっててなぁ。お前も一緒に来ないか?』
『・・・・一緒に来る?』
『その怪我だ。手当てと一緒に俺と過ごさないか?』
皺が沢山入った大きな手が、アキの前に差し出された。
『おーいシーザ!!お前が欲しがってた友達だぞ!仲良くしてやってくれ!!』
『友達?!だれだだれだ?!』
『アキ、ってんだ。アキ、出て来い!』
優しい、笑顔。