海上船内物語





船に戻ると、アキはすぐに船長室にカイルを入れた。

カイルはいつものように、堅いベッドに腰を下ろす。



「・・・・・・・・・“夢”とは、何だ」


アキはその隣に座りながら、カイルに聞く。

カイルは「あぁ、」と思い出したように顔を上げた。



「夢、ね。私、昔ずっと同じ夢を見てたんだ。ガルフと、アキとシーザに殺される夢。」

「殺される?」

「毎晩、毎晩見てた。怖い顔で私を睨んで、首を絞めて、斬られるの。
夢の中じゃ、何故か私は動けないで居た」


じっとカイルは自分の手の平を見つめる。


「アキは、許してくれた」


くっと小さな拳を作って、アキを見上げる。


「死神船にいてもいい、って言ってくれた時、私それこそ夢なんじゃないかって」


あどけない顔で苦笑するカイル。


「・・・・・みんなも、許してくれたんだ。
初めは怖くて仕方なかったけど、全部正直に話したら、隠してたこと、全部洗われた気がして、すっきりした」

「そう言えば、反抗者なんていなかったな」

「うん。それだけが、本当に嬉しかった」


ごろりとカイルはアキの膝に寝転ぶ。

アキはカイルの金髪を梳いた。



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