海上船内物語
□ □ □
その日は太陽が暖かく照る昼食時だった。
海賊狩り“死神船”の船員となる、焦げた金髪のカイルは一人、空を見上げた。
「む」
眉をしかめ、一人目を細めながら太陽を仰ぐ。
「ん?どうしたんだカイル」
丁度隣に座っていた大柄な男が、硬いパンを咀嚼しながらカイルに目をやる。
「・・・風が、東に吹いてる。雨降るなぁ」
「んん?本当か?」
「東風は雲運ぶんだよ。俺の経験からして!」
「そうなのか」
男が腰を上げる。
それを見て、カイルははしゃいだようにそいつに着いて行く。
「お前帆、張るんだろ?俺も手伝う!!」
「うんや、今は西側に行きたいモンだからなぁ。今日は帆を緩めるだけだ。一人で足りるぜ」
「じゃあそれ俺やる!」
「いや、大丈夫だって」
縄梯子に足を掛けながら、纏わりつくカイルを払う。
「俺このままじゃ何も出来ないぜぇ?」
「飯作れるだろ」
不機嫌そうに唇を尖らせるカイル。