海上船内物語






「カイルだよ」



死神船の甲板が屍でごった返している中、アキは確かにその言葉を聞いた。



「・・・・・・・カイル?」

「そう。ここに居ただろ?焦げた金髪の」



アキが眉を寄せた。
アランはそれを愉しげに見下す。




「可愛い奴だよなぁ、カイルは」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」


何が言いたいんだ、とアキはアランを睨んだ。





「あれはわしの大切な娘なんだ。ハッハッハ」




カラン、と近くに居たウルが剣を滑り落とした。




「・・・・・・・・・娘?」

「は?何を豆食らった顔しとる。あんな可愛い女見間違わんだろ」

「娘?」

「ガハハハハ!!まさかあいつ性を偽ってたか!やるなあ、ハッハッハ!!」



船員全員が、アキとアランを凝視していた。
アキも内心心拍数が上がっていた。




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