海上船内物語




「・・・・船長、」


ウルが剣の血を振り払いながら、アキに近付く。



「何をそんな恐ろしい顔してるんだ。嘘じゃないぞ」


愉しげにアランは笑う。
そして、その太い腕は鞘から剣を抜いた。


「!」


アキが本能的に身を構える。



「・・・・・・さぁて。わしらの目的は“カイル”と“死神船消去”だ。こちらの軍も相当激減してるからな。わしも応戦するとしよう」



ちゃき、と剣が鳴る。
たったそれだけの金属音に、空気が変わった。


ぞ、と船員の体に鳥肌が立つ。




「・・・・・・・・ウル、お前達は雑魚共を片付けろ」

「はい」



アキも剣を構え、切っ先に付いていた血を振り払う。




「貴様、覚悟しろよ」

「舐めるなよ、糞餓鬼」



潮風が、船を洗った。





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