海上船内物語
『何で?!女だからって関係無いじゃん!!』
『カイル、海賊にも“仕来り”はある。残念だが、女を船員にする訳にはいかねぇよ。
お前の実力は勿体無ぇけどなー』
初めて、“自分”を憎んだ。
『・・・・・・兄ちゃん、私はただ、船に乗りたいだけなんだ!』
『・・・カイル、俺に言ったって何も出来ない。親父はそう言う規則を守る奴だからね』
優しく、兄は笑う。
自分は船に乗れる癖に、私の何が分かるんだ、と心で恨んでいた。
『ようカイル、見ねぇ内に女らしくなったじゃねぇか』
十三歳。
その頃は、人に手を掛けなくなった。
『・・・・・・親父、私ここ出るよ』
『出る?どこにだ?』
『どっか遠くに行って、船に乗れる所。ずっとここに居るよりましだと思うんだ!』
純粋に、願いを言ったつもりだった。
『・・・・・カイル、お前は気付いちゃいねぇがな・・・、』
『は?』
『・・・・・・いや、何でもねぇ。ここを出ることは許さん。』
『何で?!ここに居たって私がする事なんて無いだろ?』
裏切られた、期待。
そして、その日からの拘束。