瞳に映る青
「優子ちゃん、最近は何か変わったことはあった?」

なんとなくそう尋ねると

「んー絵を描くのが最近好きでだんだん上手になってきたわよ」

「へーどんな絵なの?」

「病院のから見える景気や部屋の中の花。あたしの好きな高台の風景とか色々ね」

僕はベットに仰向けになり天井を向きながら言う。

「どんな絵なんだろう、見てみたかったな」

そう言うと優子は

「絵もいいけど本物を一緒に見に行こうよ。2人とも病気なんて治して実際に見たいじゃない」

今までよりも少し大きな声で言う。
この一人部屋では優子の声ですら響く。

「実際にあの場所まで連れてってあげたいなぁ」
優子はその場所を思い出しながら窓の方に目をやる

「そんなにいいところなら行ってみたいけど、僕はもう長いこと目が良くならないし・・・」

とうつむきながら言うと、勝気な彼女は更に
「大丈夫。だってそれ以外はなんともないんでしょ?きっと治るわよ。
 そしたらあたしも淳くんに負けたくないから頑張って病気を治すわ」

「でも、自分だけその気になっても病気じゃあしょうがないじゃん?」

あまり考えずに言った一言に優子の顔が曇り、何も言わずに黙っている。

彼女の表情が見えない僕はおろおろしていると、丁度廊下で優子を探していた優子の母親が迎えに来た。
「ここにいたの?先生が探してたわよ」

その言葉を聞いた優子はなにも言わず、母親と一緒に部屋を出た。
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