仇恋アベンジャー
「恋は女を美しくするって言うけどさー」
彩子がキャラメルラテを混ぜながら呟く。
「由紀はきっと、キレイになるためにマスターのこと好きになったんだね」
茶化すように巻いたばかりの髪に触れてきた。
「それって恋してる間に好きな人に好かれたくて頑張るからキレイになるって意味じゃないの? 私たち、もう終わっちゃったよ?」
「何言ってんの。由紀、まだマスターのこと好きなんでしょ?」
「そりゃあ、好きだけど」
もう別れたし。
会うことも、ないだろうし。
「だったらまだまだキレイになれるね」
綺麗に整えられたネイルの指で、つんとつつかれた。
いいなぁ、ネイル。
手がひときわキレイに、大人っぽく見える。
年が明けたらネイルサロンにでも行ってみようかな。
美しく飾られた私の爪を見て、おお、と小さく声を漏らす恵一が頭に浮かぶ。
彼に見せるなんて、ありえないのに。
なるほど、これが恋の力か。