嘘つきと王子様
EPISODE1
「おはよ~…」
決してよく眠れたとは言えない夜が明けて
ろくに髪もとかさないまま
重い足を教室へ運んだ。
それにしても私、
なんで学校来てるんだろう
「顔!
葵(あおい)!、顔!」
すると、
すでに席に座っていた伊織(いおり)が私を見るなり悲鳴のような声を上げた。
そして焦った様子で私に鏡を向ける
「うわ、…ぶっさいく~…」
「いや、葵、ほんとにその顔はないわ。
いくらなんでもヤツれすぎ
女子力の欠片もない」
「いいよもう別にどうでもいいし
これが私の素顔なの、すっぴんだよすっぴん」
「あのねぇ…
とりあえず髪整えてごまかすよ、少しはましになるだろうし」
「いいの、ほんと、
不細工で結構です」
そう言い放って机の上に突っ伏した。
机の特徴的な匂いがツンと鼻の奥を指す。
なにやってるんだろう、ほんとに。
こんなことして何になるんだろう
「もー、葵~…」
伊織が深くため息をついたみたいだけれど、
私は顔を上げることができなかった。
ほんとに、もううんざり