嘘つきと王子様
EPISODE3
次の日、凛太朗がいつものように教室へやってくると
すぐに私は駆け寄った
「おわっ、葵さん、どした?」
驚いた様子で凛太朗は私を見てから、伊織のことを手招きする。
「あのさ、あのさ」
「んー?」
「もしかしてなんだけど、
その、小野寺くんって
めちゃくちゃいい人…?」
それが昨日からずっと考えていたこと。
どうして話したこともないような女子のことを
すんなり助けたりなんかできるんだろう
それがわからなくて
私のことが好きなのかもなんていう自意識過剰な考えは、
微塵も持っていないから
だからめちゃくちゃいいひとなんだ、という考えに辿り着いてしまったわけで。