大人恋愛部
デスクに戻っても
先ほどの女子社員の声が耳から離れず


ついつい鮎川のデスクに視線が向いてしまう


しかし


こう言う日に限って
当の本人は直行直帰で姿を見る事はなく


成瀬部長も昨日から地方視察に出ている


キャンペーンの企画書がを手に持ちながらも
頭の中は鮎川達の事でいっぱいだった


もしも
さっきの話が本当なら…


私に相談してくるはず…


いや…
いくら同じ班のチーフだからと言っても
部長と結構親交のある私には言いづらいかな…?


鮎川…
入社当時から色んな意味で目立っていたけど

あの性格のせいか
同性からは結構嫌がらせも受けていたっけな…


『別に気にして無いですから。』


一度、鮎川が先輩から
嫌がらせを受けている場面に
私が出くわして助けてやった時があった


その時
大きな瞳潤ませながら
私を睨む様に見てそう言った鮎川を見た時

強い子だと思った

新人教育なんて胃が痛くなる仕事を任され
憂鬱な日々を送っていた私が

育ててみたい

そう初めて思ったのも彼女だった
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