Rest of my Prince
 
もしくは、紙の青色にやられてしまったのか。


まるで駄々っ子のように、芹霞を離そうとしねえ。


こんな櫂を見るのは初めてかも。


とか、何余裕ぶっこいてんだ、俺!!!


俺だって阻止しねえと、玲が芹霞の胸に…


「うが~ッッ!!!」


「き、如月が野生に帰り始めた。

師匠…どうした、まだ咽(むせ)ているのか?」


「ゆ、由香ちゃん…折角のお話だけど、そういうことは人のいない処で、もっとムードたっぷりにしたいから…」



「「玲~ッッ!!!」」



なんか、俺と櫂の息はぴったりだ。


「だけど葉山だって、如月だって命令実行したんだし。師匠だけッていうのも…」


その時、青い紙を見ていた桜がすっとそれを遠坂に手渡した。


「下……」


俺も覗き込んで見る。



『――って言ったら、きっと麗しの王子様が心臓発作起こしそうだから、却下』


何ともまあ、玲が実行することは見越されていたらしい。


『ということで、ぎゅうして耳ちゅうだけにしておくね☆』



ぎゅうだけではなく、耳ちゅうまでだと!!?


やはり櫂は、芹霞を両手に抱いたまま、ぶんぶんと顔を横に振っていて。


「駄目!!! ほら離す!!! 紫堂、離さないと最初の命令実行にしちゃうよ?」


途端櫂の動きがぴたりと止まり、その隙に遠坂は芹霞を引っ張り寄せて、桜の水を飲んでようやく咳の苦しみから解放されたらしい玲に押し付けた。


「あれ師匠聞こえてなかった? さっきのは無効。ぎゅうして耳ちゅう。はい、皆注目~ッッ!!! では師匠、悶えるくらい熱いのよろしく」


玲が桜の顔に水を吹いた。
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