Rest of my Prince
 

「み、皆の前で!!?」


「"約束の地(カナン)"では見せ付けたじゃないか。ほらほら早く!!!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ俺達。


少し引き攣って後ずさりはじめた芹霞に、


「仕方がないね、これならもう…経験済みだものね」


そう微笑んで。





実行――


しやがった。





「神崎!!? ああ、駄目だ。師匠の流し目攻撃で不意打ち喰らって、鼻血で出血多量。ティッシュ、ティッシュ!!!」



結局――


芹霞が棄権のため、楽しみをなくしたゲームは強制終了。



ああ、くそ。


玲が一番いい思いしたじゃないかよ。



俺――


紙にイロイロ書いたのにさ。



あんなことや、こんなことも…。



だけど。


それを他の奴らに実行されちゃ溜まらねえ。



そして思うんだ。


もう仮に俺が、芹霞に実行できる立場になったとしても。


命令でなんて、嫌だから。



やっぱ芹霞の同意がほしいんだ。



どんなに泣いて縋ってお願いしても、そこに芹霞の心がないならば。


それって虚しいだけだろ?


縛りたい、だけど縛りきれない芹霞の心。


だけどお前は"王様"如きに、動かされる心は持ってねえだろ?


俺はいつまでも王様にはなれねえ、従僕止まりの男だけど。


だから。


俺は待っててやるから。


命令じゃなく、強制じゃなく。


お前がこちらを向くまで。


ああ、だけど。


少しは欲求不満で攻めるかも知れないけれど。


どんなことがあっても、俺はお前を待っているから。




Fin.
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