Rest of my Prince
 玲Side
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「またゲームをしよう!!!」


由香ちゃんが言い出した。


彼女の手には、『合コンで盛り上がる本』というタイトルの雑誌がある。


「お前本当にゲーム好きだよな。今度は何だ?」


煌が腕を組んで、由香ちゃんに訊いた。


僕の仲間内で、ゲームが嫌いな奴はいない。


ゲームというより、勝負事に燃える奴が多いんだ。


一番無関心そうな桜だって、皆がやれば…大きな目をくりくり動かして、必ず参加する。


僕達全員、根本はノリがいいのだろう。


「今度はね、心理ゲームだよ。"隠された貴方の心、暴いて見せやす。いっひっひっ"ってな奴さ」


由香ちゃんもノリがいい。


「知りたい人の心が判るよ~」


三日月型の目をした由香ちゃんの前で、


「な、何? 皆何であたし見るの!!?」


皆が皆、芹霞に視線を向けたようだ。


「じゃあ行くよ~。"目の前に長いスパゲティがあります。それを1本食べきるのに、あなたはどれくらいの時間を要しますか?"はい、まず紫堂」


「…15秒」


「ほう、ゆっくりだね、うふふふ。じゃあ次如月」


「5秒!!! で、何回もがっつり喰う!!!」


「聞いてないのに、そこまでありがとう。そうかいそうかい、君は堪能よりも、回数なんだね? はい、じゃあ次は師匠」


「僕は…煌と反対かな。30秒かかっても、1本をきっちり食べたい派」


すると由香ちゃんは、「ぶはっ」と吹き出した。

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