Rest of my Prince

心理ゲームで暴かれたのは、隠された"僕"の欲求がいかに大きいか、で。


そしてそれは僕だけにしか判らない。

暴かれた結果は、かなり僅かな"僕"の一部であって。


どんなに僕が、皆を出し抜いて芹霞を手に入れたいと思っているか。

どんなに僕が、芹霞を傷つけても手に入れたいと思っているか。


これ以上心理ゲームなどしなくても、十分僕は判っているから。


だとすれば、そんな…どろどろとした醜い心が晒される前に。


「ふふふ、おやつにしようか」


僕は立ち上がる。


同時に――

芹霞の奥底に眠る真情を露わにするのが怖くて。


彼女でさえ無自覚な、"それ"が目覚めてしまったら。


その恩恵にあずかれるのは誰なのか。


僕であって欲しいと思う。


本当に切にそう思うけれど。


「うわっ、煌なら判るけど…櫂もかなりむっつりスケベ系!!?」

「な、違っ!!!」

「うわ~、櫂も結構なもんだよな」



櫂の処に行かないで芹霞。

煌と仲良くしないで、芹霞。


僕の隣に居てよ。

僕とまた付き合ってよ。


お試しじゃなく、今度は本当に。


僕をまた意識して?

僕をまた"彼氏"って呼んで?

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