Rest of my Prince
憂いの含んだ切れ長の目が、射るような鋭さを秘めている。
怖い。
あたしは本能的に、じり…と後退りして引き攣って笑った。
「ほ、ほら…櫂とはいつも一緒にいるからさ」
すると櫂が1歩を踏み込んだ。
「答えになっていない。わざと?」
怖い。
あたしはぶんぶんと頭を横に振る。
「いつも一緒に居たら、一緒に居たくないんだ、お前」
もう1歩、櫂が踏み出したから、あたしは1歩更に下がる。
「どうして、逃げる?」
にっこり。
不機嫌な顔のままで微笑まれた。
「か、櫂…顔が不気味…」
「誰のせいだと思ってるんだ!!!」
「ひいいい!?」
櫂の怒声に、あたりが突然しんと静まり返った。
きっと此処に居る客全てが、櫂の声に怯んだのだろう。
「なあ…芹霞。俺は…元来、そんなに気は長くないんだ。長くないのに、ずっとずっとずっと――ああ…くそっ!!! こんな押しつけがましくしたいわけじゃないのに!!!」
櫂は、大きく息をついてくるりとあたしに背を向けた。
「櫂?」
声をかけたあたしを残して、すたすた歩いて行ってしまった。