Rest of my Prince
 

え?


ちょっと待って?


櫂、放置するの?


放置プレイ?


あんたそんな趣味あったの?


慌てて追いかけたあたしは、


ゴオオオン。


凄い音をたてて鏡にぶつかり、額の余りの痛さに蹲った。


そして涙目を上げれば――


四方八方に櫂の姿。


そしてあたしの姿。


どれが本物のあたし?

どれが本物の櫂?


正面、背、横…あらゆる角度のあたし達が拡がりすぎて、あたしは…自分が掴めない。


怖い。


やだ、何此処。


「櫂、櫂!!!」


叫んで手を伸ばせど、それは偽り。

冷たい鏡の感触だけしか返ってこない。


こんなに近くに居るのに。


凄い距離があって。


どうすれば追いつけるのか判らない。


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