Apasionado!~俺様社長様の甘い誘惑~
「兄の大事な人なんだから…」
はぁ?
「あのぅ、何か勘違いされていませんか?私は、単なる秘書です」
「でも、兄にとっては特別な人でしょう?」
「違います」
「恥ずかしがらないで。兄がこの家に女性を入れるのは初めてなのよ」
「えっ?」
「兄は、どうしょうもないでしょう。俺様で我が儘で意地悪で…貴女の事も虐めてるみたいね」
何で知ってるんだろう。
「フフフ、貴女の会社の副社長ね、私の婚約者」
婚約者…副社長の?
「えっぇぇぇぇ」
「フフフ…ビックリした?」
「は、はい」
「彼からね、貴女の事は聞いてるのよ。あの兄に一年半も仕えてるって」
「だから、秘書ですから…」
「兄の事…嫌い?」
「えっ?」
嫌い…じゃないわよね。
でも…好きかって聞かれたら
「兄は貴女が好きみたいよ」
何故か赤くなる。
「フフフ…貴女って可愛いわね。さ、今は兄の事なんて忘れて眠りなさい。あっ、それとも先にご飯食べる?」
ご飯?
「い、いえ、食欲ないです」
「そう。じゃあ一眠りしてから食べたらいいわ。お休みなさい」
部屋を出て行こうとするのを
「ありがとうございました。おやすみなさい」
妹さんは、ニッコリ笑って部屋を出て行った。
彼女さんじゃなかったんだ。
妹さんだったんだ。
――
―
私…何か変?
あの人が恋人でなく妹さんであることに…ほっとしてる。
どうしてなんだろう?
分かんない。
あ~考えるのは明日にしよう。
今は…ただ眠りたい。