ガラスの十字架【短編*完結】
ドクン…ドクン……
心臓の音が高鳴る。
なんでだ……
何でこんなに不安なんだよ…?
大丈夫だって、
もうすぐ結衣はここに来る。
ごめんね…って謝りながら、可愛い笑顔で
結衣は必ず来る。
『…蓮……!』
僕を呼ぶ声……
振り向くと、そこには結衣が立っていた。
『……結衣…!』
僕は胸騒ぎを振り払うように、結衣にかけよった。
着ている白いコートと同じくらい、真っ白な顔の結衣……
すぐにでも抱きしめたかった。