好きとごめんのその先に
「ママ。おはよう」
そっと水をかけながら、ママに話しかける。
昔から、迷ったり悩んだりしたときはこうしてママに話を聞いてもらうのが習慣になっている。
「ねぇ。…わたし、間違っているのかな…」
「……」
今まで何度もした質問。
ママがその答えをくれたことは一度もない。
今日だって、その事実は変わらない。
「奏多にどういう顔をすればいいのか分からないの。…なんだかうまく笑えない…。
…一体どうしてこんなことになったんだろう…」
「……」
相談したって愚痴ったって、目の前の墓石はただ太陽に照らされて光るだけ。
頷くことも、首をかしげることもしてくれない。
そもそもママは聞いているのかって、それさえも確認しようがない。