好きとごめんのその先に
ふいに花びらが1枚、目の前をふわりと風に舞った。
花立てにある黄色い小菊の花びら。
ただの風のせいなのか、それともママの仕業なのか。
…不思議と、心につっかえていたものがなくなった気がする。
解決したような、そんな気分。
“大丈夫、間違っていない”って、なぜか心に響く。
きっとママが言ってくれたのかな。
ちゃんと聞いていてくれたのかな。
根拠はないけれど、そう思う。
びゅうっ…
「わっ…」
今度は強めの風が吹いた。
さっきの黄色い花びらがまたわたしの目の前を過ぎる。
しばらく踊ったあと、優しくなった風に乗って、奏多の家の方向へと飛んでいった。
それを見届けたあと、もう一度ママのお墓に手を合わせる。
…ママ、ありがとう。
それからにこっと微笑み、また来るねと言って山を降りた。