好きとごめんのその先に
「送るよ。乗って」
さっと降りてきたかと思えば、スマートに助手席のドアを開ける忠見さん。
ツンと鼻をつく、香水の匂い。
どこの何ていう種類なのか、そんなの全く分からないけど、これは忠見さんの匂い。
奏多の匂いじゃない。
あの子にはきっと、こんな上品な匂いは似合わない。
…じゃあ、奏多ってどんな香りだった…?
「どうした?」
わたしが乗ろうとしないのを見て、忠見さんがきいてくる。
「…いい」
車から1歩離れた。