好きとごめんのその先に


「送るよ。乗って」



さっと降りてきたかと思えば、スマートに助手席のドアを開ける忠見さん。




ツンと鼻をつく、香水の匂い。



どこの何ていう種類なのか、そんなの全く分からないけど、これは忠見さんの匂い。



奏多の匂いじゃない。



あの子にはきっと、こんな上品な匂いは似合わない。






…じゃあ、奏多ってどんな香りだった…?









「どうした?」



わたしが乗ろうとしないのを見て、忠見さんがきいてくる。






「…いい」



車から1歩離れた。
< 114 / 428 >

この作品をシェア

pagetop