好きとごめんのその先に


奏多がいなくなった部屋では、やっぱり何もすることがない。



何気なく、置いてある奏多のノートをぱらぱら。



意外にも几帳面な奏多は、男の子にしては綺麗な字を書く。



文字は人を表すって、言ったっけ。



繊細だからなぁ、奏多は。



そんな整った文字の並びに、少し微笑ましくなったり。



自分だけしかいない部屋で、思わずひとり笑ってしまう。





「奏多。…大好きだよ」



文字を指でなぞりながら、たまらず呟いた。



1人の空間だから、言えること。



忠見さんとのことがある限り、奏多にさえ好きと言えない。



言ったら、きっとわたしが耐えられない。





…わたしって、ズルいかな。



どちらとも決めずに2人の間にいるなんて。



…だけどそれでも一緒にいてくれる奏多って、どれだけ寛大な人なんだろう…
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