好きとごめんのその先に


「どういうつもりで、こんなことになってんの。…あいつのこと、好きにでもなったわけ?」


「……ちが…っ、……」





無意識に口を噤んでしまった。



…“違う”とは、なぜか言い切れなかった。



一瞬でも彼を愛おしいと思ってしまった自分に、罪悪感が募る。





「…俺が高山にキスされて、幻滅でもした?」


「……」



……そうじゃない。



あれは奏多が悪いんじゃないって、ちゃんと分かっている。



だからあの時、笑うしかなかったんだよ。




「…それとも本当はずっとあいつのことが好きで、邪魔者は俺の方だった?」


「……っ」




…それも違う。



奏多が邪魔だなんて、そんなのあり得ない。



わたしがそんな風に思っているように、奏多には見えていたの…?
< 323 / 428 >

この作品をシェア

pagetop