Re:alism
私は恐る恐る振り返った


「すいませんあのっ…」


「あ。“チ美”じゃん。」



「え?────とっ…ちむら…?!」


そこには、私の大嫌いな男がいた。


「まじ来るとか思わなかったし。万里ちゃんサンキュー」


「どーいたしまして♪」


「ちょっと万里!どういうこと?!」



「どういうことって…」


「おいチ美!いいから入るぞー中ぁ」



そう言い、奴は私の背中を押し店の中に誘導した。


「ちょっ…」



奴の名前は栃村 嘉一(トチムラ カイチ)


あれは小学6年生の冬


私が一部の男子からいじめられ始めた時の主犯



それがこの栃村だ。



───私がチビなのと名前が美なのをかけて“チ美”。


転校してきたばかりのこいつに、自己紹介した瞬間に付けられたあだ名。



「お前相変わらずチビだなぁ。“チ美”だから仕方ないかぁ」


「…今でもそう呼んでんのはあんただけだって」



「2人とも仲良しだね♪───あ、あそこだ。あっく───ん!」


万里が手を振り、左奥のテーブルに速足で向かう


私はその後をついていく。


「おまたせー。」


「いーえ♪じゃ座ってね」



男3人に女が2人


明らかこーゆーのに慣れてそうな面々。



…私…ここにいていいのだろうか───…



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