豹変上司に初恋中。
私もつられて時計を見ると、すでに9時半。
「わ、すいません。そろそろ帰ります」
「……そうか。他に人は?」
「私が最後です」
「分かった。送る」
「え!? だ、大丈夫です……え」
予想外の言葉に慌てて首を振ったその瞬間。
ぐらり、と編集長の体が傾いた。
「へ、編集長!?」
咄嗟に手を差し出す。
支えた瞬間、その体の熱さに驚いてしまった。
「凄い熱……!」
「あー、悪い。ちょっと体調が良くないんだ」
すぐに体制を整えようと離れる編集長に、私はもう一度首を振った。
「ちょっとどころじゃないですよ! 休まないと……」
「大丈夫だから」
「全然大丈夫じゃないです!」
引かない私に、編集長は息を吐いて携帯を取り出し、どこかに電話をかけ始めた。