豹変上司に初恋中。
俺の言葉に、呉羽は駄々っ子のように首を振った。
「昴さん、私、嫌なんです」
「……何が」
「昴さんがいなくなるぐらいなら、自分がどうなっても良いんです。だから、お願い、」
「……」
「お願いです。婚約なんて、しないでください」
何かが切れる感覚がした。
俺は身体をゆっくり起こして、呉羽が逃げないよう腰に手を回す。
見返す呉羽の表情は酷く扇情的で。
「馬鹿だよ、お前は」
自分でも驚くような、弱々しい声が出る。
俺は小さく呟いてーー
俺をただ見つめる呉羽にキスを落とした。