豹変上司に初恋中。
――――
その日、私は仕事を終わらせきれずに残業することに……
今日はまだ部屋に数人残っている。
7時50分、編集長が立ち上がって。
「じゃあ、吉村くん、あとお願いします」
「はい」
「編集長、お疲れ様です」
「お疲れ様」
一人に後を任せて、皆に挨拶をしながら部屋を出ていく。
「…………」
行くんだ。
綺麗な女の人と並ぶ編集長を想像して、また少し胸が痛む。
「……仕事、しなきゃ」
言い聞かせるように呟いて、私は息を吐いた。