豹変上司に初恋中。

――

次の日いつも通りの時間に編集部に入ると、既に来ていた梓が顔を上げる。


「あっ、おはよーございます、先輩」

「おはよ、梓」


ちら、と編集長の席を見ると、やっぱりもう来ていて。

「……おはようございます、編集長」

「ああ、おはよう呉羽さん」


口元で笑みを示して挨拶を返す編集長は、どこかぼんやりとしていた。


「大丈夫ですか?」

「え?ああ、うん。ありがとう。ちょっと疲れてるのかな」

「……」

昨日、何かあったのかな。

欠伸を噛み殺す姿に、またモヤモヤした感情が押し寄せてくる。


< 56 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop