豹変上司に初恋中。
――
次の日いつも通りの時間に編集部に入ると、既に来ていた梓が顔を上げる。
「あっ、おはよーございます、先輩」
「おはよ、梓」
ちら、と編集長の席を見ると、やっぱりもう来ていて。
「……おはようございます、編集長」
「ああ、おはよう呉羽さん」
口元で笑みを示して挨拶を返す編集長は、どこかぼんやりとしていた。
「大丈夫ですか?」
「え?ああ、うん。ありがとう。ちょっと疲れてるのかな」
「……」
昨日、何かあったのかな。
欠伸を噛み殺す姿に、またモヤモヤした感情が押し寄せてくる。