豹変上司に初恋中。
「……?呉羽さん、ちょっとおいで」
首を傾げて、編集長が席を立つ。
促されるままに、あとを付いていった。
―――
「なんです…… !?」
部屋を出た瞬間、額に手を当てられる。
「熱は無いね」
「な、な……」
「あ、ごめん。最近、呉羽さんも元気ないみたいだったから」
大きい、少し骨張った手。頭で認識すればするほど、顔がほてる。
「っ……ね、寝不足で。すいません」
それを隠したくて、俯いて咄嗟に嘘をつくと、
「寝不足ねえ……」
頭上から呆れたような小さい声が返ってきて。