びたーちょこれーと。






「なんだか卯月と話せないの寂しいねー」


睦月の何気ない言葉にキュンとしてしまった。



「そうだな」


「……え!?」

いつもの俺なら「あっそ」とでも言うところなのにな。



「俺も、お前と離れるの寂しい」


「……!」



俺は急いで走って家に帰った。


        チ キ ン
初めて、少しだけ臆病者を脱出した瞬間だった。




引退試合は行かなかった。


もう睦月には会わないほうがいいと思ったからだった。






< 144 / 304 >

この作品をシェア

pagetop