僕らが今いる今日は
いくら疲れを取るためと分かっていても、部活がない放課後は退屈で仕方がなく、いつまで経ってもこの日の過ごし方というのは慣れない。

桐島とどこか寄ろうと思ったけど、あいにく1組に行ったときには既に教室を後にしていた。

木原さんからヒラオカマコトと3人でどこかに行こうと誘われたが、そこまでの元気は無かったのと、後ろでそれを聞いていたヒラオカマコトが一瞬だけ「何を言っているの」という表情を木原さんに向けていたのを見て断った。



けど、もしかしたら木原さんと二人だったら断らなかったかもしれない。

別に恋愛とかそういうのではなく、一度きちんと木原さんと話がしてみたいのだ。

だって、人のことを外見やメールだけで判断するのって、俺のことを髪の毛がどうこう言う奴らと一緒じゃん。

そういうことだけは絶対にしたくない。



色々と考え事をしているうちに足が止まった。


県営陸上競技場


うちの高校からは対して距離は離れていないから、30分ほど歩けば着いてしまう距離だ。

昨日、ここで様々なレースや競技が行われ、多くの3年生が涙を流した。

そのなかで部活を引退する選手は一体何人いたのだろうか。

うちの女子4人だけではない、多くの選手が引退し、今日から部活に参加しなくなっている。

この時期に引退をするということは余程のことがない限りは大学や実業団からスカウトがくるということはない。

これから先で本格的に陸上を続ける選手というのはほんの一握りしかいない。

つまり、涙を流して引退した3年生のほとんどが陸上に別れを告げたのだ・・・



俺もいつかはそのときがくる。

そのとき、俺は笑っていられるだろうか。

やっぱり、涙を流してしまうのだろうか。
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