華麗なる偽装結婚
周りの全ての視線を集めている事も忘れてじいさんと怒鳴り合う。
いつかはこうなる日が来る事は分かっていた。
俺は父さんのようにこの人の言いなりになどなる気はないのだから。
「………あの。
佐倉会長。
お話し中申し訳ございませんが私にも一言言わせていただいてもよろしいでしょうか……」
その時、阿美子が俺とじいさんの会話に突然口を挟んだ。
「……阿美子?」
「………ふむ。何かね?」
彼女はそっと一歩前へと進んで顔を上げると、じいさんを正面から見た。
「……佐倉会長は、佐倉物産と如月グループとの統合をお考えの上、今回のお話を怜さんに、とお考えのようですが
……実質、その統合からのこちら側の利益が思い当たりません。
如月グループの中でも、とくに如月機器の業務内容は佐倉物産と全く同質のものです。
現在特許を持っておりますSAKURA製品の数は業界の中でも最多を誇っております。
それらをみすみす如月に明け渡す事は、むしろ如月機器の業績上昇を図るものであり、我が社には全く不利なものであります。
こちらにおきましては、開発中のプロジェクトが現在も、他社にはおりません一流の研究者の手により進められております。
このような優秀な社員たちも、みな佐倉社長の事業拡大に共感し信頼しているからこそ、その手腕を大いに発揮しているのです」